自分から変わることは負けじゃない。より気持ちよく生きるためのヒントを見つけよう。

ビル・マーレイ主演のGroudhog Day(邦題:恋はデジャブ)。1993年公開。原題の「グラウンドホッグデー」とは、物語の舞台となるペンシルバニア州の街パンクスタウニーなどで行われるアメリカの伝統行事のこと。主人公の人気気象予報士フィル・コナーズは、毎年2月2日に開催されるこの祭事に、今年も取材のため出掛けていく。

 

フィルには田舎町のこの祭事が退屈で仕方ない。仕事で取材に行かされることが気に食わないフィルは、町の人々に対して自己中心的で失礼な態度を取り続ける。そして翌朝。目が覚めて聞こえてきたラジオの内容が、何故か昨日と全く同じことに気付く。窓の外の景色も、その日出会う人々の様子も、昨日体験したことと全く同じなのだ。

 

理由は分からないが、目が覚めるとまた2月2日朝6時になってしまう。そして同じ一日を過ごし、2月3日朝5時59分になると、また一日前にリセットされている。そんな毎日を過ごし続けるうちに、フィルの心に変化が起きてくる。周囲に興味を持つようになる。相手の気持ちを慮るようになる。自分に出来ることを考え、相手のために何かすることの喜びを感じるようになる。

 

公開から20年以上も経つ作品だが、その魅力は全く褪せていない。寧ろ、当時の日本はまだバブルの余韻の中にあったことを考えると、今の時代にこそ観る意味がある作品と言えるかもしれない。


自分の想い通りにならないからと周囲を責め、不満を口にするのではなく、相手を説き伏せて思い通りに動かそうとするのではなく、まずは自分の認識を変えること。自分の思考の枠を取り払うこと。全体の中にある自分の存在、自分という主語を取り払って考える全体の存在の大切さを教えてくれる。自分が変わることで、周囲が変わってくる。周囲が変わることで、あなたは更に良い方向に変わっていく。そんなポジティブな循環をつくりだしていきたくなる。

 

単なるラブコメの域を超え、平凡な日常の繰り返しのなかから、生きるために重要なことを教えてくれる。哲学的な観点から、人としての生き方を問うような部分も多い。何度も繰り返してみたくなる、そんな名画である。